最適ピンホールの孔径、製作、孔径の簡便な測定方法【その2】¥《¥Æ¥´¥ê講演原稿・資料
本学副会長・倉石馥(Kaoru Kuraishi)が、2007年6月3日のワークショップで講演した内容をまとめたものを2回にわたってお伝えします。
※このやり方を実践したことによる怪我等の損害について、作者・本学会は責任を負いません。
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孔の開け方
孔の開け方は、その材質、厚みなどで異なる。先に述べた日本の古い技術解説書には、孔を開ける板は、求める孔径の1/10 以下の厚みが望ましいと記載されている。
筆者がおよそ50年近く前に、千葉大学で、当時の田村稔教授から教えて頂いた方法は、ブリキの板に太い釘の先を丸く削り、それで叩いて窪み(穴)を作り、その出っ張った所を細かい番手のサンドペーパーで薄くなるまで削り、そこに針で孔をあけるというものであった。当時、容易に手に入るブリキ板は、例えば焼海苔の入っている金属缶の材料などであったが、その厚みは 0.4〜0.5mm位であった。
最近、簡単に入手出来る材料は、缶ビールや缶ジュースのアルミ板である。この厚みは 0.2〜0.3mmで、しかも孔開け加工が容易である。この金属板の下に厚手の紙を敷き、縫い針をあてがって小型のハンマーで叩いて孔をあけ、反対側に出るバリをメッシュ1,000番位の番手のサンドペーパーで磨くと綺麗な孔が出来る。この研磨の際に、孔を中心に擦る方向を変えながら擦らないと、孔が楕円形となる場合がある。
0.3mmの材料では厚すぎるので、台所で使うクッキングホイルも薄くて良いが、腰が弱く使いにくいので、最近は、大型のDo It Yourself 店の金属素材を販売しているコーナーで見かける、銅や真鋳の薄板(0.01〜0.02mm、10cmx100cm)を使うのが、最も使いやすく、便利な素材である。
この板を手で持って、そこに軽く縫い針を当てると、小さい孔が開くので、このバリを綺麗にして使うのが良い。
最適ピンホールの孔径、製作、孔径の簡便な測定方法【その1】¥《¥Æ¥´¥ê講演原稿・資料
本学副会長・倉石馥(Kaoru Kuraishi)が、2007年6月3日のワークショップで講演した内容をまとめたものを2回にわたってお伝えします。
始めに
日本におけるピンホール写真の解説が記載されている古い出版物には、ピンホール写真を「針孔写真(シンコウシャシンとルビが振ってある)」として記載されている。ここで、最近よく使われている「針穴」と「針孔」との違いは何かを検討してみた。漢和辞典などによると、「穴」という漢字の意味は、「窪み」であって、必ず底がある事が有り、「孔」という漢字の意味は「突き抜けているアナ」である。従って、「穴」は「墓穴を掘る」「落とし穴」などという使い方がある様に、窪みを意味しており、必ず底がある。従って「穴」では光が通らない。「孔」は、「絞りの孔径」「針孔」というように、貫通しているアナを意味する。そこで、写真を写すのであれば、光が通らなければならないので、「孔」であって「穴」では無いという事だ。最近は、筆者自身も書く時には「針孔写真」であって、「針穴写真」とは書かないように心がけている。