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最適ピンホールの孔径、製作、孔径の簡便な測定方法【その2】

投稿日時 2007-10-11 23:20:00 | トピック: 講演原稿・資料

本学副会長・倉石馥(Kaoru Kuraishi)が、2007年6月3日のワークショップで講演した内容をまとめたものを2回にわたってお伝えします。
※このやり方を実践したことによる怪我等の損害について、作者・本学会は責任を負いません。

前回の内容はこちら

孔の開け方
 孔の開け方は、その材質、厚みなどで異なる。先に述べた日本の古い技術解説書には、孔を開ける板は、求める孔径の1/10 以下の厚みが望ましいと記載されている。
 筆者がおよそ50年近く前に、千葉大学で、当時の田村稔教授から教えて頂いた方法は、ブリキの板に太い釘の先を丸く削り、それで叩いて窪み(穴)を作り、その出っ張った所を細かい番手のサンドペーパーで薄くなるまで削り、そこに針で孔をあけるというものであった。当時、容易に手に入るブリキ板は、例えば焼海苔の入っている金属缶の材料などであったが、その厚みは 0.4〜0.5mm位であった。
 最近、簡単に入手出来る材料は、缶ビールや缶ジュースのアルミ板である。この厚みは 0.2〜0.3mmで、しかも孔開け加工が容易である。この金属板の下に厚手の紙を敷き、縫い針をあてがって小型のハンマーで叩いて孔をあけ、反対側に出るバリをメッシュ1,000番位の番手のサンドペーパーで磨くと綺麗な孔が出来る。この研磨の際に、孔を中心に擦る方向を変えながら擦らないと、孔が楕円形となる場合がある。
 0.3mmの材料では厚すぎるので、台所で使うクッキングホイルも薄くて良いが、腰が弱く使いにくいので、最近は、大型のDo It Yourself 店の金属素材を販売しているコーナーで見かける、銅や真鋳の薄板(0.01〜0.02mm、10cmx100cm)を使うのが、最も使いやすく、便利な素材である。
 この板を手で持って、そこに軽く縫い針を当てると、小さい孔が開くので、このバリを綺麗にして使うのが良い。

孔径の測定方法
 正確には、拡大投影機の移動ベンチにマイクロメーターを取り付けて測定するのが最良であるが、この装置は高価である。そこで、簡便に、精密に測定する方法を以下に説明する。
 用意するものは、簡便な旧式のスライド映写機(プロジェクター)と、厚みが1.5〜2.0mmで50mm角の透明なガラス板、フイルムマウント、物差しの目盛りが付いているプラスチックの物差しと、普通の物差しを用意する。
 フイルムマウントにこのプラスチックの物差しを切断して、マウントの中に取り付ける。これが測定の原器となる。より精密に測定したい方は、顕微鏡の付属品として、ガラス板にスケールを書き込んだ板を使うのが良いが、これはかなり高価である。
 まず、物差しのスケールをプロジェクターでスクリーン上に投影して、10mmの目盛りがスクリーン上でどの位の寸法に拡大されているかを測定する。これでスクリーン上に何倍に拡大されて投影されているかが判る。次に、ガラス板に自分で作製したピンホールをセロテープなどで固定して、スクリーン上に投影する。そのスクリーン上の孔径の像を測定し、先に求めた倍率で除すると比例計算でピンホールの孔径が算出できる。この時に、同時にバリが孔の一部に出ていないか、真円の孔になっているかが観察できる。

F値の求め方
 出来上がったピンホールを使って写真を撮影するには、その孔径と、孔と感光材料の距離からF値を求めなければならない。
 レンズのF値を求めるには、以下の数式を使いる。

       F=f/d    F:F値  f:焦点距離   d:孔の口径

 従って、先ほどのd=0.245mmで、f=50mmで使うならば、F値はF=204 となる。

 F値は、一目盛り変わると、光量が倍又は0.5倍となるように出来ている。
 光は、孔の大きさによりそこを通過する量で決まる。すなわち、孔の面積に依存するわけである。従って、孔の直径が2倍となると、光の通過量は4倍となる。
1.0 1.4 2.0 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32 45 64 90 128 180 256 という数列で表現されて、それぞれが二倍づつに変化している。
 このF値は、1900年にフランスのパリで開催された、国際的な工業標準を定める会議(今のISO)で、決められたもので、それまでは各社、各国で色々な数値の決め方がされており、使う人は大変であったが、国際的にこのF値が使われるようになったのは1930頃からである。
 同じ孔径でも、焦点距離を変えると明るさが変化するという事を理解頂きたい。

                                 倉石 馥



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