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「ピンホール写真講座−暗い部屋とデジタル・ピンホール・カメラ−」の報告

投稿日時 2008-11-23 19:50:00 | トピック: PPAS一般

2008年11月9日(日)に、紅葉が遅れている秋の京都で、ピンホール写真のワークショップを開催しました。
ピンホール写真芸術学会(PPAS)主催で、京都芸術センターに共催いただきました。
講師は鈴鹿 芳康会長、合津 文雄で、場所は京都芸術センター(京都市中京区室町通蛸薬師下ル山伏山町546-2)です。

会場となった京都芸術センターは廃校となった小学校をリサイクルした施設で、床、階段、窓枠は木造。当日は朝から雨がぱらつく、あいにくの天気でしたが、一般の方12人が参加されました。今まで写真にはまったく関わりがなかったのですが、ちょっと面白そうだと覗いてみたという人や、写真の仕事を始めたばかりという人、京都在住の外国人留学生などいろいろの背景を持った方々が集りました。

第一部
講師からの趣旨説明に続いて、いきなり作業開始。カメラを体験するために参加者全員で会場の部屋の窓を塞いで暗い部屋を作りました。照明を消してみると、まだまだ、光が差し込みます。そこを塞いで、またチェック。なんとか暗くなりました。



そこで、講師から写真の原理についてひとくさり、フーンそんなもんです.....。では、カメラを体験してみましょう。照明を切って暗黒に耐えます。だいぶ目が慣れてきたところでガラス窓に取り付けた直径5mmのピンホールを開けると、教室の中につるしたスクリーンに何か映っているのが見えてきます。オー、これはなんだ?ちょっと暗くてわかりにくい。今度は、直径12mmのピンホールを開けるとしっかり見えます。ちょっとぼけているけど教室の外の廊下とその先の中庭が上下逆転して映っています。オーオー。一同関心しきり。続いて直径95mmのレンズに替えると、こんどは明るくはっきりした像が映りました。アシスタントが廊下を行き来すると、逆さまに歩いている様子が見えます。オ“−。
暗闇のなかで、写真の原理についての講義の続きが展開されます。レンズの焦点距離は1200mmで、スクリーンを前後するとピントがあったりぼけたりします。これはピンホールにはない現象です。カメラを体験しながらの講義に一同納得。



照明をつけて、大型カメラを使った講義を続けます。外へ出て、インスタントフィルムを使って、その場で映像を見ながら、学びました。レンズをつけて被写界深度の勉強。
続いて、ピンホールでの撮影、少し明るくなってきた外でもピンホールでの撮影は一枚に20分以上かかります。講義を聴きながら、時間を待ちます。出来上がりにはみんな興味津々です。





相反不規という現象で、プリントは青っぽくなっていますが、動かないものははっきりと、動いていたモデル役はぼやーっと写っています。これで、第一部は終了。

第二部
午後は、まず暗い部屋の解除です。暗幕を下ろして、遮光紙をはずします。つづいて、スクリーンを延ばして、液晶プロジェクターを設置します。デジタルカメラを三脚にセットして、ビデオ出力ケーブルをつなぎます。教室の後ろの方には、プリント用のPCとプリンターがスタンバイ。これで、準備完了。



ピンホールカメラの基本について講師から講義があります。午前中の実習を思い起こしながらカメラオブスキュラの話を聞きます。
続いて、道具が配布され、ピンホールを作って、それをデジタルカメラにつけて撮影する手順の説明を聞きます。材料はみんなが持ってきたアルミ缶です(スチールのお菓子箱を持ってきた人は誰ですか?これをナイフで切るのは大変)。
カッターナイフを使って、アルミ板を切り出し、ハサミで大きさを整え、針を立てて孔を開け、サンド・ペーパーでバリを取る。ワイワイ、キャッキャと作業が続きます。
できた人から、順番にデジタル・カメラに簡易アダプターで装着してもらって、撮影です。自分がつくったピンホールで、教室の仮設スタジオで5秒から20秒の撮影です。シャッタースピードは尋常じゃないけど、その場で、スクリーンに結果が映し出されます。ウーン、オー、キャー、教室は喚声、歓声?に包まれます。





理論計算によれば、直径0.3mmが最適なのですが、実際作っていろいろやってみるに限ります。だいたい、肉眼では直径はわかりません。大きすぎても、ゆがんでも、面白い写り方をするし、小さすぎると、露光時間が長くなって、人はほとんど写らなかったりします。どういうわけか、人によって特別な色がつくことがあります。フィルターが付いているわけではないのにどうしたことでしょう。ピンホールをいくつもあけて幽玄な映像を作った人もいます。ピンホールに液体をたらしてみた人もいます。ここから後は、理論というより、感性がより大切な世界のようです。





しっかり丁寧に作る人、新しいことをいろいろやってみる人、友達と一緒にポーズを決めて写す人。みんな、思い思いの工夫を重ねて、つぎつぎやってみる。楽しい時間はあっという間に過ぎました。撮影されたものはまとめてプリンターでプリントしました。12人の参加者でプリントはなんと87枚。みんな、工夫を凝らしたひと時でした。
いったん、写真講座を閉じて、韓国で開催中で、講師の鈴鹿教授の作品も出品されている「テグ・フォト・ビエンナーレ2008」(DAEGU PHOTO BIENNALE 2008)について紹介されました。



参加者には十分喜んでいただいた、一日であったようです。
後日、電子メールで、受講者から礼状が届きました。
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本日は、写真講座、ありがとうございます。
感想をいくつか。

1.純粋に、写真の原理を知ることができて、面白かったです。
装置は単純だけど、それが綺麗な像になるのが不思議で、感動的でした。

2.もっと、チラシ、インパクトのあるもの(先生の風景の写真を入れるとか)
にしたらどうでしょうか。ちょっと、インパクトがなさすぎました。

好奇心の赴くままに伺いましたが、
大いに満たされました。
何よりも、今のデジタルカメラで忘れさせられた、
アナログの像が写る喜び(ピントが合わないことを含めて)
を思い出さされ、心が温かくなりました。

感想とお礼を兼ねて
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今回の、写真講座は準備や運営に不十分な点も多々ありましたが、結果としては当初の目的を達することができたと

思います。今後、この経験も踏まえて、様々な企画を実施したいと考えています。

以上
(文:合津 文雄、 写真:椎木 茂雄)




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